ライフ・オブ・パイ

Life_of_Pi_2012_Poster すごく前にも書いたけど、僕はアン・リーの「楽園をください」という映画がすごく好きである。アン・リーの映画に通じているのは集団の中で感じる孤独や疎外感を描いているところで、この「楽園をください」では南北戦争を舞台にそれを描いている。ドイツ人の子孫である主人公と黒人の登場人物が、同じ目的のために戦う味方部隊からも差別を受けたりする。その度に彼らが感じる疎外感みたいなものをすごく丁寧に写しているんだよね・・。

で、今回の「ライブ・オブ・パイ」でも、主人公は名前が変という理由で、クラスメイトからいじめに似た扱いを受ける。彼がいかにそれを克服したかを結構な時間をかけて描写するんだよね。観ながら「さすがアン・リー」と、笑ってしまった。
「ライフ・オブ・パイ」は予告編の印象を裏切る映画である。なかなか漂流しないし笑。そしてメインは「トラとの漂流生活」でもない。メインの話は、彼が何を信じ、観た人達も何を信じているかを試す映画なんだよね。そういう意味ではすごく哲学的な映画である。世の中のレビューや感想は
「美しい映像」、「絶対に3Dで観るべき」
という話ばかり。もちろん、それもそうなんだけど、そうではなく人がどう世の中と立ち向かうか、自分自身と立ち向かうか、という話なんだよね・・。パイが割り切れない数字であるように、人生が上手く収まる訳がなく、小波や大波があったりする。凪の後に嵐もね。すごくいいんだけどなんとも人に説明しにくい、薦め映画である。が、観ておくべき一本であることは間違いない。

ほぼ二股

「スター・ウォーズ エピソード7」の監督をLOSTとかのJ・J・エイブラムスが務める事が発表されて、「あ、本当に作るのね」と、再確認。こういう、特殊でなおかつ膨大な数のファンを持つ作品だから、誰を持って来ても文句は出るもので、万人を満足させる事は出来ない。そういう意味でJ・J・エイブラムスという選択はいいところを付いてるよね、何せスタートレックの映画版を成功させた男だからだ。
スタートレックといえば、スターウォーズと双璧をなすスペースオペラである。双方のファンは自分のヒイキの作品が一番だと信じており、互いに認め合わない。スタトレックファンから見れば、スターウォーズは大したドラマもなく、ストーリーも子供だまし。逆に、スターウォーズが好きな人にとってスタートレックは、派手なアクションや革新的な映像的が全くない地味な作品、というところになるのかな。似たような存在でありながら、真逆に分かれている二つの世界だけど、J・J・エイブラムス
はどちらの世界をも作ることになるのだ。なんだか現実離れしすぎていて、予想できた映画ファンなんて誰もいなかっただろうなあ。
 それにしてもJ・J・エイブラムスはすごいなあ。
・バルサとレアル、どっちでも監督をする
・ドラクエとFF、両方を作る
・nikeとadidas、両方でデザイン
みたいなことだもんね。映画監督としての実力はもちろん、バランス感覚が一番やしなわれそうだ。

ホビット

The_Hobbit_An_Unexpected_Journey_poster_Hobbits_749x1109  今年の年末は本当に傑作が多い。「アルゴ」も「007」も最高だったけど、この「ホビット」も期待に添う傑作であった。特に僕が愛してやまないゴラムが出てくる件は練りに練られていて、後に待つフロドとの出会いはより意味深いものに感じられる作りになっている。ゴラムサイドに立って考えれば、「バギンス」という名を聞いた時に浮かんであろう、色んな気持ちがより分かるのである。ゴラムに感情移入しすぎかな。
「ホビット」は「LOTR」よりファンタジー要素が多く、明るい雰囲気になっている。ビルボは帰ってくることは既成事実だから当たり前だけど、それはそれで楽しい作りになっている。僕は「LOTR」の何が好きかって、それは一時代を終わらせに行く、帰りのない旅に出かける事から生まれるその「暗さ」なんだけど、「ホビット」にそれはないんだよね。ないんだけど、この先に待つ暗黒時代の足音がヒタヒタと密かに重ねられている描写が所々にあって、ただの冒険譚にはなっていない。
でもやっぱり一番はあの世界観だよね。音楽がなってシャイヤの緑が映ったときに「LOTR」の感覚が蘇るんだよね。そうそう、これ、この感覚ってのが。こういうのって続編ならではの感覚で、このシリーズが愛される一つの理由とも言えるんじゃないのかな。

スカイフォール

Skyfall PosterSKY FALL
監督 サム・メンデス
出演 ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ

 年末に向けて、話題作が次々と封切られていく中、公開が始まったばかりの「ホビット」を横目で見ながら「スカイフォール」を鑑賞。遅ればせながらの鑑賞だったけど客の入りはいい感じで、007の人気を再確認。今回は50周年記念作品だったり、興行成績が歴代一位で前評判もいい。話題性も広告も多く、もはや安牌なんだろうけど、そういう時こそ期待に答えるのは大変だったりする。
僕は007のコアなファンではないが、今回のこの一作にはビックリした。なぜなら、ボンドとMを完全にロートル扱いしているんだよね。ITが全てを司る現代に、スパイという生身の工作員に存在意義はあるのか?という、痛い所と向き合っているんだよね。それだけでなく、
「今のこの時代に007映画はどうなの?」
という問題すらをも重ね合わせて同時に完璧に処理しちゃっているのだ!それどころか、それらを理由にして新しいシリーズへのスタートをも完全に切っている。なんていうか、50年目にして「これからだぜ!」という終わり方なのである。

僕が自分で意識して観だしたのは「ゴールデン・アイ」からぐらいかな。それまでのボンド作品も見ているけど、子供心に残っているのは
「平気で女も殺す」
「協力してくれた人は大体死ぬ」
「しかも結構えげつない死に方」
という「怖い」イメージなんだよね。そして、全作品にどことなく流れるユルい感じ。中身やメッセージ性を気にせず、軽く楽しむ「娯楽作品」が007シリーズだったんだけど、この1本は全く違うんだよね・・・。美しい映像に、自分の存在理由を模索しながら原点を探る主人公。もう、まるで古典、ギリシャ神話である。僕が感じていたユルさは完全なシリアスになって、抱いていたボンドの軽薄さは、ルーツを解明していく間に消えていく。DVDより映画館で観たほうがいい一本だ。

マント

昨日、「ダーク・ナイト・ライジング」のDVDをかけたら、新作のスーパーマン「Man of Steel」の予告が入っていた。最後まで見ないと何の映画なのか分からないような意味深な予告編だったけど、とにかく画が綺麗で期待が高まる映像だった。監督が「300」や「ウォッチメン」のザック・スナイダーだから、それだけでも首を長くして待つ価値がある。
 で、この予告編でガキが首に赤い布を巻いて歩き回るというシーンがある。このシーンを見て「あ、スーパーマンのことか!」と観客は気づく。あの赤いマントは一つの記号であり、スーパーマンの「印」なんだよね。スーパーマンだけでなく、ヒーローのマントというは子供心にグッと来るもので、不規則に風になびく姿は今でも格好いいと感じてしまう。「ダーク・ナイト・ライジング」でも鉄塔に登ったバットマンがマントをなびかせながらゴッサムシティを見下ろすただ格好つけるだけのカットがあるんだけど、やっぱりカッコいいんだよね。
 まあ、よく考えるとマントはかなり不要なもの。戦うとなったら邪魔にもなる。踏まれたり引っ張られたりしたらお終いだ。ピクサーの「ミスター・インクレディブル」でもそこを追求していて、マントのないコスチュームがいいという下りもある。実際「ダーク・ナイト」でもバットマンがマントをしたままバイクに乗るときに、タイヤにマントが絡まるんじゃないか?とちょっとドキドキしたりする笑。マントはあくまでも一つの記号であり、ヒーローファッションなのかな。
 で、数あるヒーローの中でも一番のカッコいいマントはずばり「SPAWN」のマントだろう。スポーンがヒーローであるかどうかは微妙だけど、そのマントには他のヒーローにはない邪悪さがあり、まるで生きているかのように動いたりする。

この映画の評価イマイチだけど、1:30秒の登場シーンのマントの映像だけは誰もが絶賛だ。

エヴァ

 全く情報なしで観に行ったんだけど、最初のあの展開で
「間違って違う部屋に入ってしまったんじゃないか」
と本気で思ってしまった。すでに語るのが難しく、評価するのはもっと困難なこの映画だけど、いつもと同じようにあちこちで謎解きと解説や考察を含めたブログが多い。映画を観るより、こっちを読んでいる時の方が楽しいんじゃないか?と思わないこともない。今回のエヴァはあれから14年後の世界が舞台なんだけど、一番最初に思ったのは、
「その先の話を知りたいわけではなかった」
って事である。おそらくだけど、一番最初に観てインパクトを受けたあの世界観を観たかったのだ。エヴァ自体がそうであるように、繰り返し同じ世界を観たかったのだなあ、多分。思えばもう14年前の作品なんだよね。未だに論議され、何かある度にあーだこーだと評価されたり批判されたり、なんとも特殊な作品だ。

映画の力

 年末から年始にかけて本当に楽しみな映画が多い。
12月は
「007 スカイフォール」
「ホビット 思いがけない冒険」
「レ・ミゼラブル」
1月になると
「96時間 リベンジ」
「テッド」
その後にも「クラウド・アトラス」や「キック・アス2」、リンカーンを題材にしたスピルバーグの新作もあって、何かから見ようか?状態なのである。すごく楽しみなんだけど、今映画館でかかっているこの一本「アルゴ」も最高にいい一本なんだよね。すでにあちこちで話題になっているし、TVや雑誌で紹介されているのを見た人も多いと思う。
 1979年のイラン革命の際に、アメリカ大使館が過激派に占拠されるが6人の大使館員が混乱に乗じて脱出。カナダ大使の自宅に身を隠した。逃げ出して帰国したいのは山々なのだが、アメリカ人と見ればその場で射殺されるという空気、外に出ることは出来ない。さらに大使館員の名簿が相手方に渡っており、6人が隠れていることがいつバレるのかも分からない。そんな彼らを救い出すために、CIAの人質奪還のプロが立ち上がる。
 このCIAの人がベン・アフレックで、彼が考え出した作戦が「6人をカナダ人の映画スタッフに仕立て上げて堂々と空港から出獄させる」という作戦であった。これが実話だからビックリである。そのため、本当に映画が存在している様に見せなければならない。脚本を選び、事務所を構え、記者会見をし広告も出す。どれだけこの映画が本当に存在するかを見せるのが成功のポイントで、ありもしない映画作りに右往左往する大人達がすごく滑稽に映る。しかもこれが棒にも引っかからない、当時流行っていたスター・ウォーズを丸パクリしたようなB級映画なんだよね。
 映画は緊張の連続。実話だから作戦が成功し6人が無事救出されるのは分かっているのだが、この作戦はごとごとく行き詰まり、方向転換を余儀なくされまったく予定通りに進まない。その度に観ているこっちはドキドキ、ハラハラ、本当に上手い演出なのである。
 この作品のもう一つのいい所は「映画愛」を訴えている所である。彼らが最後の最後の難関に立ち向かうんだけど、そのピンチを助けるのは
「映画を必死に語る」
事なのである。その作戦に最後まで懐疑的だった人が必死にこの映画を語るんだけど、その時、存在もしないこの偽映画(しかもB級)が実在するんじゃないか、本当に作られるじゃないか?という気がして、なんていうか、その一瞬だけ命が宿った気がするんだよね。劇場にかかっても誰もみないだろうけど(笑)、もうそのシーンで涙涙・・・。おすすめです。

当たり

 今回、全日空にして良かったと心底思ったのは、映画がたくさん観れたことであった。もちろん、違う航空会社でも観れたんだろうけど、一番の違いは
「自分の観たいタイミングで観れる」
という、ところであった。前回乗ったアメリカの航空会社では、2時間ごとに上映される映画が変わるタイムテーブルがあって、自分からタイミングを合わせないといけないんだけど、全日空の場合はデータベースから選んで、自分の観たい時に見れるのである。一時停止も早送りも巻き戻しも出来るから、本当にすごくいい環境だったんだよね。
 そしてさらに最高だったののが、上映される映画の選別である。なんと、見逃していた
「霧島、部活やめるってよ」と「おおかみ子供の雨と雪」があって、両方とも評判どおりの傑作でであった。
両方とも二回ずつ観てしまったことは言うまでもない。まったく違う映画のタイプなんだけど、両方とも素晴らしい作品であり、選んでくれた担当の人に礼を言いたいぐらいである。今年の下半期は傑作が多いな、新しい「トータル・リコール」は最悪だったけど・・。

エヴァ

 ちょっとずつだけど、エヴァンゲリオンが攻めてきている。色々な商品やCMでの露出がちょっとずつ増えてきていて、そういえばもうすぐ新作が公開されるんだよねー、と毎回思いだす。昨日も夜中にTV板の再放送があって、何回も見ているのにビデオに撮ろうかな、なんて思ってしまった。
 僕は後追いの再放送組みだけど、エヴァンゲリオンってたしか95年だから、もう17年も前の作品なんだよね。ここまで生き続けているという事はファン層が入れ替わっているということ。今度の劇場版にはおっさんも若い人も雑多に混ざるのかな。ドラとかサザエとか、国民的という冠が付くアニメならわかるけど、ああいう内容のものがずっと続くのはやはり珍しいことなのかも知れない。悪くいうと、エヴァって満足させないんだよね。常に謎や飢餓感を残すことで負満足感を残して、より欲しくさせる作戦をとっている。人間不思議なもので、満足してしまえば興味をなくすもので、その心理を上手く使われている。そういう僕も公開を心待ちにしている一人ではあるんだけど、すごく混みそうなのでタイミングをはかりながら行こうと思う・・。

ダイ・ハードの新作

SWのニュースに比べると、こっちはあまり話題になっていないダイ・ハードの新作
「ダイ・ハード ラスト・デイ」
予告編を観た感じでは、
・息子と娘が登場
・舞台はロシア
・相変わらず大暴れ
という感じになりそうです。ダイ・ハードシリーズは皆好きだと思うが、初期のほうがいいという人は僕だけではないはず。それは
「続編はオリジナルを超えられない」
という、良くある問題ではなく、もうぜんぜん違う映画になってしまっているんだよね。前にも書いたけどマクレーンは妻にも見捨てられた「世界一運の悪い」冴えない男で、常にボヤキながら結局は相手を倒すんだけど、決して正義のヒーローではないんだよね。「4」ではそれこそ超人並みに強くなってしまっているから、なんだかなー、なんだよね。次回作の5ではどうなるか楽しみなんだけど、子供とかが出てくるから少しは人間らしくなってくれる事に期待だ。