踊る大捜査ってやつ

近所のレンタル店に行ったときに「踊る大捜査線」の新作が出ているのを見たのだが、ピクリとも興味が沸かなかった。最後に劇場にかかった一本がシリーズの最後を飾る最終作品であることをはし知っていたのだが、その時もまったく惹かれず公開されていることすらも忘れてしまっていた。僕は大ファンといううわけではなかったけど、TVドラマや最初の劇場版は好きで見ていたんだよね。そこまでは良かったんだけど、良くわからないスピンオフな作品が作られたり、常にガッカリさせられるような劇場版が続いてシリーズの魅力はなくなっていった様に思う。特に劇場版におけるレベルの低さは顕著で、ガッカリどころかイライラしていたことを思い出す。

「踊る~」はまた、TV局主導で映画を作って、これでもか!と宣伝を打って、ヒットさせる手法を確立し牽引した作品でもある。ドラマを映画化し、それを宣伝しまくってヒットさせる。良くも悪くもこの手法はあちこちで真似され、TV局が作る色んな映画が生まれていった。ある意味では罪深い作品であるとも言える。

新しいDVDが並んでいるのを見たとき、なんだかなーとちょっと寂しく思ってしまった。悲しいかな、「踊る~」にはちょっとした格式があり、なんていうか、「大規模バジェット大作映画としての踊る~」というのがあるんだよね。僕はそうではなく、もっとこじんまりとした小さな形でもいいから、「男はつらいよ」や「釣りバカ」のように1年に1本作るような、そんな作品として生きつづけてくれればいいのに、なんて思うのだ。大きな事件や派手な映像はいらないから、昔のTVシリーズの様にストーリーで引っ張るような作品のほうが合うと思うんだよね。

後から追いかける

BOSSことセビの代表から明日封切られるアイアンマンの入場券を頂いた。入場券だけでも嬉しいのに、あえて「アイアンマン」を指定してい来るところが流石である。

で、このアイアンマンなんだけど「4D」上映が行われる劇場が何箇所かある。3Dでもお腹一杯なのに、4Dなのである。3Dとどうちがうのかが非常に気になるところなのだが、どうやらシーンに合わせて座席が動いたり振動したり、座席の前にあるバーや天井や壁などから、風や水、香り、光、霧、シャボン玉等が出るらしいのだ。これはもう映画ではなく、アトラクションと呼ぶできものなのだろう。割り切れれば楽しく観れそうなのだが、これを聞いた僕の世代が最初に頭に浮かぶのは「キャプテンEO」である(ハズ)。

キャプテンEOはマイケル・ジャクソンが主演する「3D映画アトラクション」とも呼ぶべきもので、昔懐かしい青と赤の3Dメガネをかけながら楽しむディズニーのアトラクションであった。マイケルが音楽と踊りで世界を救う物語で、当時としては珍しい3Dの立体感を楽しむものであった。このアトラクションがオープンしたのは86年だが、なくなる直前は人気アトラクションとは呼べなかったかな。マイケルが亡くなった後には期間限定で復活したのも記憶に新しい。そしてこのキャプテンEOには、当時から「水がかかる」という演出があったんだよね。たしかキャラの一人の鼻水が飛んでくるシーンで、観ている観客の席の前のバーから水が少し飛んでくるんだよね。4D映画ですごい!新しい!と喜ぶ人も多いだろうけど、実は何年も前にそのアイディアを実用化しているアトラクションがあったのだ。改めてキャプテンEOはすごい作品であることを再認識し、当時としては超画期的なことをやっていたのか、今になって思う。

リンカーン

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監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、トミー・リー・ジョーンズ

正直、戦争マニアのスピルバーグが作った南北戦争の映像を期待して行ったんだけどそういう映像はほぼなく、なんとも地味な映画であった。が、だからといって期待はずれでは全くなく、大きな満足感とともに劇場を後にすることが出来た。ほぼ全編室内でのドラマで、人間関係と駆け引きの連続が描かれるという展開。奴隷制度廃止の憲法修正を通すためにリンカーンは何をどうしたのかが描かれていく。
奴隷制度廃止の話だから人間の尊厳とか優しさとか善意を信じた故の行動で、それがすごく感動的な話なんじゃないか?と誰もが思うだろうけど、そういう安易なドラマではないことにすごく好感がもてる。全ての行動にはちゃんとした理由付けがあり、そこに感情が入る隙はない。問題や葛藤はたくさんあるんだけど、その一つ一つ論理的に答えを出し計算をし、片付けていくのである。安易な感情論に流されなくい。だから、リンカーンは全くヒロイックに描かれていないんだよね。裏ではバッチリ金をばら撒き嘘もつく。妥協もする。でも、自分で何が正しいのかをわかっていて、全てはそのための行動なのだ。その強さがダニエル・デイ=ルイスの目にピッタリ合うんだね・・。
この映画と史実がどれだけ近いのかはわからないが、この世界や社会を動かしているのは間違いなく人の手であり、頭なのだ。それを強く認識した。そして、僕らが生きる今のこの世界は僕らより前に生きた人たちが作ったものであり、その時代を生きた人たちと僕らは繋がっていて、なんというか、歴史は繋がっているのだな。

ジャッキー印

poster-723x1024 いよいよジャッキーの最後のアクション映画(どこまで本当かどうかは微妙だけど)「ライジング・ドラゴン」が上映されますね。前に「ジャッキーがアクション映画から引退するかも」というのを書いたけど、本当だったみたいだ。一応「体を張ったアクションから引退」というさりげない言い訳が用意されてはいるけど、ある部分では本当なのだろう。今回の映画は監督も脚本も製作も主演もジャッキーの、まじりっけなしのジャッキー印映画である。製作もジャッキーだから、自分で金をだし、自分で作る体制になっているんだね。これで主題歌までジャッキーとなれば観にいかないといけないんだけど、どうなのだろ。

ジャッキーが好きだと言っている僕でも、劇場でジャッキー映画を見たのは一度だけ。子供の頃にみた「シティー・ハンター」である。何を血迷ってそれを観にいったのか、ガキの頃の自分を捕まえて聞いてみたいものだ。冴羽獠役のジャッキーの白いスーツしか覚えていないんだよね。

本当は劇場まで足を運んで観るべきなんだろうけど、僕にとってジャッキー作品はビデオはで家で観る、というのがピッタリ来るんだよね。それで好きとか言うなよ!とファンは思うんだろうけど多分、子供のころにビデオで何度も何度も繰り返した観たことが原体験になっているからだと思う。アクションシーンを巻き戻してみたり、人を気にせずに笑ったりしてね。そういう意味では、ジャッキー映画はどれも娯楽作品としての正しい姿を保っていて、だからこそ未だに人気があるのだろう。

クラウド・アトラス

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監督:ラナ・ウォシャウスキー 、トム・ティクヴァ 、アンディ・ウォシャウスキー
出演: トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス 、ペ・ドゥナ

1800年代から文明が崩壊した近未来まで、6人の主人公の魂の生まれ変わりを描く、人には説明しにくい映画である笑。時代がバラバラの6人の物語が平行して描かれるんだけど、バラバラなのにいつの間にかつながりを感じてしまうから不思議である。一人の登場人物は時代を経て性別や人種までもを変えていくんだけど、その時代の行動が次の時代のその登場人物に影響しているように思えたんだけど、どうなんだろう。
 面白いところは、6つのストーリーをバラバラにして描くことで、カタルシスや意味合いが生まれてくるところである。たしかのどれもそれだけで一本の映画になりそうなぐらいに魅力的だけど、これは映画ならの魅力で、映画の力を存分に発揮した作品と言える。編集の力ね。全く関係のないバラバラのストーリーなんだけど、同時に描いて互いに絡ませることで不思議なつながりや一体感が生まれる。犬を殺した奴は来世も酷いもんだろうな、とか思っちゃうんだよね。
こういう、繰り替えしの映画って案外あるんだよね。「恋はデジャヴ」や「悪いことしましょ」も、繰り替えすことで魂みたいなものが磨かれ、主人公は人間として正しく変わっていくんだよね。僕はすごく好きなんだけど、人を選ぶ映画でもある。

ラスト・オブ・モヒカン

the_last_of_the_mohicans_1992_580x859_728160ラスト・オブ・モヒカン
監督 マイケル・マン
出演 ダニエル・デイ=ルイス、マデリン・ストー、ジョディ・メイ

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」でもかなりキテいたけど、今後「リンカーン」の公開もある事だし「ラスト・オブ・モヒカン」を鑑賞。もう何度目か忘れたけど、いつ観てもいい映画である。本来はラブストーリーなんだろうけど監督がマンなものだから、骨太の男のドラマになっている。登場人物それぞれに自分の価値観があり判断基準がありそれに沿って行動するんだけど、いちいちそれを声に出して説明する様な野暮な事はしない。表情や目、行動で全てを示すんだよね。それが一々格好いいのである。
それから、音楽とスピード感かな。特にラストシーンに向かう最後の五分は映像もストーリーも速度を増し、それに合わせて音楽も高ぶっていって、それら全てが最後に一つに合わさってクライマックスを迎えるんだよね、しかもほぼセリフなしで。
舞台は独立戦争前のアメリカで、イギリスとフランスが戦争をしてそこにインディアン達が巻き込まれていくストーリーでなんだけど、そこで描かれるのは男としての生き方、自己犠牲、絆や裏切りである。なので、そのままギャングとギャングの争いの映画に置き換えても全然成り立つ映画である。さすがマン印。

日本アカデミー賞

 野球があったり、サッカーがあったりと急がしい日にシレーッと日本アカデミー賞が行われていた。ザッピングしながら見ていたけど、舞台に上がる受賞者達は毎年同じじゃないか?と思ってしまった。ハリウッドと比べてはいけないんだろうけど、いつも同じ俳優たちといつも同じ女優達ばかりがイマイチ気分が載らなかった。層が薄いのか、規模が小さいのか、理由はたくさんあるんだろうけどまあ仕方ないことである。きっとどうせ作品賞もヨシナガサユリ様の「北のカナリアたち」が持っていくのだろうなあ、と思っていたけど、なんと「霧島部活やめるってよ」が受賞してしまった。これはかなりの英断じゃないでしょうか。有名な人もほぼいないし、大作というわけでもなく、「北のカナリアたち」が持つような「重厚な作品感」もない。「霧島~」は口コミで広がっていった作品ではあったが、人気になった頃に上映は終わっていた、という微妙なタイミングラグもあって見れなかった人も多かったんじゃないかと思う。それでもその口コミによってあっちこちで話題にあがり、再上映があったりと「内容」が評価され人気に繋がったのだ。最近流行りのTV局主導の大量スポット映画ではないんだよね。作品の面白さだけでなり上がった、それが「霧島~」であり、その部分が受賞に繋がったに違いない。これはいいニュースだ。

映画の敗北

 テレ朝の日曜夜9時からの映画枠「日曜洋画劇場」が「日曜エンターテインメント」という名前に変わるらしい。変わらずに映画は放送するが、ドラマやバラエティも放送するという。おそらく映画では視聴率が取れない、しかし「洋画劇場」には45年の歴史があり簡単に切るわけにはいかない、波風が立たないように先ずは名前から・・・、という事なのだろう。映画ファンとしては淀川長治の解説と「さよなら さよなら さよなら」に育てられた想いがあるだけに実に寂しく、くやしくもある。淀川さんが死んでからは選別した映画を流すというより、今度やる映画の関連作や前作を流す「宣伝番組」になっていたんだよね。視聴率が悪いのは映画が人気がないからではなく、違うところにもあるんじゃないかと思わずにはいられない。ガキの頃に偶然テレビで流れた映画を見てしまって、それがずっと心に残っている人って多いと思う。映画にはそういう力っていうか、誰もが教えてくれない何かを教えてくれる役割もあると思うんだよね。実に残念だ。こうなったら昼間のTV東京にがんばってもらうしかない。

ゼロ・ダーク・サーティ

zero-dark-thirty-posterゼロ・ダーク・サーティ
監督 キャスリン・ビグロー
出演  ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク 、ジョエル・エドガートン

 ビンラディン死亡の一報が流れた時、ああ、そうなんだーと案外冷めた反応だった事を覚えている。9.11の直接的な被害者では限り似た反応の人が多かったはず。僕自身もそうで、まだ追いかけていたんだと思ったの共に、オバマが発言した
「正義はなされた」
の一言にアメリカの執念というか、そりゃあ地獄の底までも追いかけるか、と思ったのを覚えている。

 前評判通りの内容で、すごく良かった。特に最後の30分は、前作の「ハート・ロッカー」の爆弾解体のシーンのあの緊張感がずっと持続している感じで片時も目を離せない状態。ビン・ラディンを殺したという史実はみんな知っているけど、「どう殺したの?」は誰も知らないため一つの注目ポイントだったため、尚更だ。配役も良く、最後まで飽きさせない展開は見事。
 すごく面白かったんだけど僕は主人公の事が最後まで好きになれず、その部分でなんだかもやもやが。最初から最後までビンラディンの追跡にしか興味がなく、内面もあまり描かれない。襲撃された後に変化があるかなと思ったらそうでもないし、終始同じテンションなんだよね。もう嫌だとか疲れたとか、あれば良かったと思ったんだけどね・・。同僚が事件に合う時に内面を少し見せるが、その後も変わらず。まあ、最後にシーンで説明される様に彼女にはそれしかなく空っぽなのだ。「ハート・ロッカー」でも主人公は家に帰ってからスーパーのシリアル売り場の中で何もない自分を発見する。ガキに「歳を取ると好きなこともどうでも良くなっていく」って話すんだけど、彼にはまだ一つだけ爆弾解体があり、最後にはそこに戻っていく。それに引き替え彼女は行く所もなく帰る所もなく、する事もないんだよね・・。明らかに演出なんだろうけど。

テッド ted

ted-movie-poster-2012-1010750719テッド
監督 セス・マクファーレン
出演 マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、マット・ウォルシュ

ご存知TVでCMをかけまくりのコメディ。命が宿ったテディベアと、そのぬいぐるみと一緒に育ち中年になりながらも成長出来ない男の物語である。R15の期待通り、下品なギャグや下ネタを連発しつつ笑わせてくれた。さらに映画ファンならニャッとしてしまうコネタもちりばめられていて、ある世代の男にはドストライクの一本だろう。車に乗るときに天井の上から乗り込むとか、インディよろしく耳を拾うシーンとか、「アルフ」のくだりとかもね。劇場であんなに人が声を出して笑う映画は珍しい。
と、ここまでただのコメディだけど、実に上手く作られている映画でもある。なにせ、「ぬいぐるみが生きている」という無茶な設定を最初の5分で説明し、その後に客に違和感や疑問を抱かせないように作ってあるからね。ぬいぐるみが風呂に入ったり、ナンパをしてS●Xしたり、コカインを吸うんだけど、「重くならないの?」「どうヤッテるの?」「どう吸ってるの?」と思うのは一瞬で、次の瞬間から「そういうものなんだ」と思わせてくれるのだ。そこの部分が上手く行っているので、後半のドラマ部分にバッチリ感情移入できるのだ。泣かされるほどに。
もう一つ面白いのは、こんな映画なのに人としてのあり方を学べるんだよね。テッドと主人公の関係を通して、友情や責任感、人はどう大人になるのか、人には何が大事なのか。そして主人公の恋人のローリーを通して、人を判断する時にどこを見ればいいのか、どこに魅力があるのかを教えてくれる。こんな映画だけど、それなりにメッセージもあるのだ。
それにしても大人になりきれない人の映画がいつからか多くなっているなあ。この映画を作っているのちょっと上の世代の人のだろうけど、下ネタやおタクな映画ネタを並べて喜んでいるのだから、世界的な傾向なのかな。